•  アースザレジデンスもいよいよ2月末の完成を目前に控え、全工程同時進行で追い込みをかけています。上手く言えませんが事業がスタートして全ての物事が一度バラバラに散らばったように感じます。そして、一度散らばった物がマンションの竣工に合わせて一斉に集まっていく感覚を覚えます。

    ★<再生1>新しい家宝のテーブル
     この度アースザレジデンスの1階テナントとして島井不動産が事務所を新設しますが、契約室に置く接客テーブルが来ました。縦横のサイズが2,000mm×900mmで厚さが60mmもある無垢のテーブルです。渋い茶色に染色し、スチールの足を付けられたそれは4人がかりでやっと持ち上がる大きさです。材料はどこから調達したかというとアースザレジデンスが建っている土地の中心に昔から立っていた「せんだん」と言う樹木を再生したものです。事業計画が本格化し、どうしてもこのせんだんを避けて通れなくなってしまいました。正確な樹齢は分かりませんが言い伝えでは200年は超えているものと思われます。昔から大切にしていた大木を自分達の都合で切り倒してしまうのは非常に忍びないし何とか活用出来ないだろうかと考えていました。そこで、色んな方のお力添えを頂き今回テーブルに再利用して大事に使っていこうと考えたのです。形は変わってしまいましたが新しい使命を持ち、以前立っていた同じ場所に戻してあげることが出来て非常に嬉しく思っています。


    ★<再生2>ガーデンモニュメント
     アースザレジデンスのエントランス奥にある入居者専用のプライベートガーデンにはシンボルツリーの「もっこく」の大木があります。この大木の樹齢は推定で300年~350年とも言われていますが、この樹木の由来を記したモニュメントを作成しました。材料はもっこくの木の隣に昔からひっそりと立っていた石柱を再利用することにしました。材質は砂岩で長年風雪にさらされ真っ二つに折れ酷く苔むしていましたが、石材屋さんのご協力でツルッツルに切り出され磨かれて見事に再生を果たしました。これからも今までと変わらずもっこくの傍らで時代の語り部としての新しい使命を持って在り続けると思います。

     私が思う物の価値というのは、対象となる「物」をどれだけ大切に継承していけるか又は継承しようと思えるのかにあると思います。今の時代世界中からあらゆる物が行き来し、手に入る環境が整っています。でも、単純な物欲では手に入らない物もあるように思います。今回ご紹介した二つの事例はただのテーブル、ただの石かもしれません。しかし、それにまつわる歴史や由来、思いを含めた上で大切に引き継いで行かなければならないものがあると感じました。
     アースザレジデンスにしてもしかりです。ただの収益物件として捉えるのではなく、永い歴史の中の一つの形としてしっかりと維持管理し、次の世代に引き継いで行かなければなりません。それが今までの形を変えてしまった担当者の責務だと思いました。